くにたち求償裁判(第2段裁判)で確定してしまった東京高裁判決 »全文はこちらのPDFで には、多くの問題があります。ここではそれらを次の5点に分て、それぞれの問題点を明らかにしておきたいと思います。

  1. 1. 国立市の損害は発生していない
  2. 2. 業妨害とされた4行為が、重過失にあたるのか
  3. 3. 重過失にするために物語を創作
  4. 4. 首長の在り方を萎縮させる判断
  5. 5. 議決と決議を同義語に扱う問題

なお、これらの問題点については、最高裁上告後、最高裁に提出すると予告していたにもかかわらず上告が却下されたために提出できなかった意見書等3点の中の「上告理由書・上告受理申立理由書の本人補充書」(上原元市長の意見書)でも、詳しく言及されています。この上原意見書は »こちらからPDFファイル をダウンロードできます。

1. 国立市の損害は発生していない

求償の原因である市が明和に支払った損害金31.239.7263円は、明和が寄付として全額市に戻している。条件として裁判費用の市が明和に対する債権放棄。

2. 業妨害とされた4行為が、重過失にあたるのか

*2005年12月19日 明和が国立市を訴えた根本高裁判決がベースになっている。

(根本判決文から)

「これらの行為について、個々の行為を単独で取り上げた場合には不法行為を構成しないこともあり得るけれども、一連の行為として全体的に観察すれば、第1審被告らは、
補助参加人らの妨害行為をも期待しながら、第1審原告に許されている適法な営業行為すなわち本件建築物の建築及び販売等を妨害したものと判断せざるを得ない」

<不法とされた一連の行為>

第1行為

懇談会終了後の雑談での発言(平成11年7月)

第2行為

地区計画決定、条例改正の議決(平成12年1月)による行政指導から法的規制への転換(高裁では削除される)

第3行為

国立市民が提起した建築禁止仮処分申立事件における「20メートル超の部分は建築基準法に違反」との平成12年12月22日付東京高等裁判所決定(以下、「東京高裁決定」)を引用しての国立市議会での議会答弁(平成13年3月)

「高裁の判決の中で、建築物制限条例に適合しない、違法であるというふうに言われておりますので、司法判断の通りだというふうに思います」

第4行為

東京都などへの東京高裁決定の尊重を求める要請(平成12年12月)、給水留保の要請(平成13年7月)、検査済証交付への抗議(同年12月)。

3. 重過失にするために物語を創作

*重過失にするために、すべてが上原の画策にしなければいけなかった。

根本判決…補助参加人らの妨害行為をも期待しながら

 ↓

小林判決…市民運動や報道を利用したに変化

高裁小林判決

第1行為

住民運動を手段として利用した。住民運動がおこることを企図した。行政の公平性に反する。市長本来の職務を逸脱したものであって、手段としての社会的相当性を欠くもの。

第2行為

地区計画及び条例の制定といった適法な手続きによるもの…営業妨害ではない。

第3行為

答弁は、何らの思惑なしになされたものではなく…これが違法な建築物であることの印象を与えることを意図して答弁した。…このような答弁が報道されて損害は生じたことが認められる。

第4行為

住民らとともに圧力をかける行為であり、このことが報道されることは当時の状況方予測できた。

4. 首長の在り方を萎縮させる判断

高裁判決文

「住民運動を利用し…市議会や報道を予期した場所で建築基準法に違反するかのような印象を与え…顧客がマンション購入に消極的になるなどの印象を与えた」

「大学通りの景観利益保護という公的な利益に基づいて上記の行為に及んだものと認められるが、明和地所が行政指導に従わないことが確認された段階で、地区計画等の策定等の法的な規制を及ぼす手続きのみをしていれば、国家賠償法上の違法といわれることはなかったものと考えられる」

市民の代表たる首長の役割に対する問題点

  1. (1) 首長の公約実現
    首長選挙では、改革が主なテーマ。公約実現のためにあらゆる努力が要求される。「手続きのみをしていれば」よいのか。
  2. (2) 首長は行政マンではない…二元代表制の意味を覆すもの
    市民の生命財産を守るために、法では足りないものを新たに制度化する責任を負う…市民自治の本旨(憲法92条)
  3. (3) マスコミとの関係…報道にも責任を負うのか
    マスコミは、首長がコントロールできるものではない…報道の自由を侵害する
  4. (4) 首長と市民との協働は、違法か
    行政と市民とは協働・協同の時代である

5. 議決と決議を同義語に扱う問題 …… 議会の責任

2013年(H25) 12月  議会で債権放棄の議決が採択される

2015年(H27)  4月  市議会議員改選

        5月  求償権の行使を求める決議が採択される

*地裁判決「本件放棄議決については、……議会の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるものと認めることはできない」「国立市長が、地方自治法176条に基づいて本件放棄議決を再議に付する手続きをとっていないにもかかわらず、被告上原に対する本件求償権の放棄の意思表示をしないことは、地方公共団体の長としての権限を濫用するものといわざるを得ず、…本件求償権を行使することは信義則に反するものとして許されないというべきである」

高裁判決文より

「国立市長に対して本件求償権の行使を求めるというものであり、これが最新の市議会議員選挙によって選出された市議会議員による議決である。国立市長としては、現在の民意を反映していると考えられる最新の市議会の議決に従うべきであるから」

*2011年(H23)最高裁でも決議は地方自治法に基づかないものとしている

*法的有効な「議決」と議会の意志表示に過ぎない「決議」を同義語に扱うことによって、最高裁判断を自ら覆した。

法的に認められた議決を覆すためには、法的相当の理由が示されなければならない。改選の議会構成ごとに決議が覆されることを可能にしたことは、法的安定性がなくなることを意味する。

沖縄の2016年12月最高裁判決と矛盾する。


景観求償裁判の高裁判決は、地方自治の首長の政治家としての、行動、発言にいちじるしく委縮をもたらすものである。市民の代表たる二元代表制の意味をなくし、市民の声は届かなくなる。

地方が本気を出して、自力で頑張る時代だからこそ、民主政治の実現は「市民のための政治」であるために「市民による政治」が必要である。

市民自治、地方自治をないがしろにした最高裁の判断は、地方創生時代に逆行するあまりにも問題の多いものである。

この事例(判例)をもって、政治家としての首長をつぶすことが、意図的に使われる可能性が出てきた。民主義の崩壊の兆しといえる。

基金受付口座

 

ゆうちょ銀行(郵便振替)

 口座番号:00120-7-696771
 口座名称:上原基金1万人の会  

ゆうちょ銀行
(他銀行などからの振込み)

 店名店番:○一九(ゼロイチキュウ)
 預金種目:当座
 口座番号:0696771
 口座名称:上原基金1万人の会
(うえはらききんいちまんにんのかい)

みずほ銀行 日野駅前支店

 預金種目:普通
 口座番号:1222665
 口座名称:
  日野市民法律事務所 弁護士窪田之喜
         (くぼた ゆきよし)